リハビリにこれが正解というような(万人に有効な)リハビリはないと思っています。 従って、ここに書いていることは、あくまでも「私は自分のリハビリをこう考えている」 という私見に過ぎないとご了解下さい。
同様の趣旨について「ストレッチ&運動療法」の”理学療法士(PT)さんや作業療法士(OT)さんの協力を得て” 「リハビリ通信」2006.10.18にも書いているので参考にして下さい。 ここではもっと具体的に「リハビリをどう進めたらいいですか?」という声に応える形で、 「なぜ」「どのように」について書きたいと思います。
タイトルのリハビリのプロとは、理学療法士(PT)さんや作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)さん達のことです。 各療法士さんには「ならでは」の違いや特徴がありますが、それについては専門サイトで調べて下さい。 私が直に向き合ってきたのは理学療法士さんだけです。 従って、その経験をベースに話を進めます。
私が「なぜ」プロの方とのリハビリを進めるかは、簡単です。 彼らが筋肉や動作について熟知されているからです。 例えば、殆どの方が熱望される「歩行する」ということについて、 同じ病気でも歩行を可能にするためにクリアしなければいけない要件は人によって違います。
リハビリにあたって先ず、PTさんは過去の病歴をお聞きになられると思います。骨折等によって関節の可動域に制限があったり、 筋力に弱い部分があるかを聞かれた後、実際に体に触れて(曲げたり伸ばしたり、負荷をかけたりして) 可動域の制限の有無や筋力を調べられることと思います。
そして実際に歩いてもらってバランス保持の能力をはじめとする運動能力を見極め、それら全てを評価し、 どこに注意し、どうリハビリを進めるかを組み立てられると思います。非常に大雑把な言い方をしましたが、 歩行リハビリの動作に入るには、そういう手続きを踏まないと危険ですし非効率なんです。どれ一つをとっても プロの知識と技術を必要とするのです。可動域に制限があるかないか、筋力があるかないかではリハビリの進め方が 違ってくるのです。
次に「どのように」ですが、具体的な例を挙げると、 ROMと呼ばれる関節の拘縮を防ぐことを目的とする関節可動域訓練があります。 非常に乱暴な言い方をすると、膝や肘・足首などを伸ばしたり、縮めたりする動作です。 人の体は長い間使わないでいると、関節が固まり伸び縮みに支障をきたすようになってしまうようです。 それを防ぐためにするのがROMと呼ばれる動作です。
その関節可動域訓練動作をやるのに、二つに分かれます。 理学療法士さんにやってもらう方法(何も言わないと理学療法士が身体を動かしてやってくれます、 又、それをするのが仕事だと思っておられる方が多いようです) もう一つは、「やり方と程度など注意点」を聞いて、自分でやる(勿論、自分でやれる限りは)方法です。 私は後者を選びます。
理由は、脳と身体に繰り返し働きかけることがリハビリには、不可欠であると考えるからです。 従って、出来る限り自分一人でやれる事・やれるように努めます。 そうすると自分の都合でいくらでも繰り返し出来るからです。 不思議なことにそういう気構えでいると、プロの意図や狙いとするところを、頭と身体で必至に理解しようと努めます。 そうしないと一人で取り組む時にPTさんの狙い通りに正しいやり方で取り組めているかどうか分かりませんから。 感覚反応や位置情報が脱落しているのに、筋肉の動きや反応がまるで障害などないように感じることが出来るのは その所為ではないかと思っています。
PTさんが私によく言われる「人が数カ月もかけて学習することを20分そこそこで学習してしまう」ところがある と評されたり、目覚ましい改善がみられる理由がそこにありそうに思っています。つまりそういう風に心掛けることが 脳と身体に好ましい刺激を与えるのではないかと。
それと私がこのやり方に拘るのは、プロの方が当事者と関わる事の出来る時間が限られているからです。 一人で取り組めることは出来るだけ一人でやって、 一人では出来ない事をプロに手伝ってもらったり、チェック してもらうように時間配分したほうが効率的だからです。(一人ではストレッチ出来ない部分のストレッチ、歩行や四肢の協調運動の学習)
例えば、私には指先や手首・肘などの小さな筋肉が十分に働かず、肩で代償してしまうという欠点があります。 そこで狙った筋肉だけを使って肩の代償を抑える学習動作のリハビリをしています。 例えば、どんな動作をするのにはどの筋肉がどのように動くか、又どの方向に動くのが正しいのか等は 私には分かりませんからプロの方のアドバイスが不可欠です。
そして実際におやりになると実感されると思いますが、どのような動作も(特に新しい動作の習得)簡単には 身に付かず、自己流になったり、却って悪い癖がつくことがあるので、それを修正してもらうことが実は大切になります。 定期的にプロにみてもらう理由はそこにあります。
それと、バランス保持の能力アップ・リハなどは、最初は支持基底面を広く・低くとることからはじめて、 そのレベルの能力獲得に合わせて(脳は未知の事柄に対応しようとする性質があると思うから) 次第に狭く・高くし、支持基底面から重心が外れても体制を立て直すようなメニューを組むのがいいと思うので その局面々でプロの客観的な目によるチェックとアドバイスを受けられるのがいいように思います。
現実には、上述したように対応してくれるプロと巡り合うのは至難なことかもしれません。 医学的知識をお持ちの彼らプロには、この病気の進行は不可避という常識がある筈ですから。 しかし、リハビリをするのはプロではありません、当事者本人です。私がPTさんによくお話しするのはリハビリによって好ましい 成果が現れるかどうかは、リハビリの指導者の力量よりは当事者の意識の比重が遙かに大きい と云う事を申し上げます。 従ってリハビリの指導者に問われるのは、知識の豊富さや能力の高さよりも、当事者の積極的関与を どうやって引き出すか、ここに尽きるのではないかと。
他人(ヒト)にその情熱と意欲を求めるのでなく、 自分の情熱と努力が他人(ヒト)を突き動かす事が稀にあります。 対応も相手によって変わりうるものですから。常に関係は双方向です。 大きく打てば、鐘は大きく響きます。人は熱意を感じると熱意で応えようとするものです。 強い意志と信念でリハビリに向かって下さい。