<歩行のためのアドバイス>
私は「ストレッチとイメージを重視した運動療法で歩行のプログラミングを脳に再構築させて
筋肉や骨格をコントロールする学習を繰り返す」ことで歩けるようになりました。
それで、時々人からアドバイスをお願いします、とよく言われます。途端に返答に窮してしまいます。
- SCDの人にとって歩けない理由が「歩行のための協調運動が機能しない」としても、人によって能力は異なります。
寝たきりの人・座位の姿勢が保持できる人・立ち上がりに介助を要する人・支持すると立位を保持できる人・
介助を受けると移動できる人・杖歩行が出来る人・短い距離なら二足歩行が出来る人等々。
「新しい神経回路の構築による機能獲得」のためのアドバイスは、歩行に限らずそれぞれ違います。
出来ない事も人によって違いますから、アドバイスの「少しだけ難しいこと」も異なります。
相手の情報がないと一般的なお話しか出来ない事を説明するのが意外と難しいのです。
多分、理学療法士さんも同様の手続きを踏まれると思うのですが、何がどの程度出来ないかを把握して、その人にとっての「少しだけ難しい事」
を提案して、それをその人が理解して、どの程度ご自身で「繰り返し」アプローチされて、提案した「少しだけ難しい事」
が妥当だったかどうかを判断し、そうでなければ別の事を提案しなければなりません。そして習得されたと判断したら、
次の新しい事を提案することになります。
- この事を理解頂き、状態把握の情報がないと適確なアドバイスは難しいのです。アドバイスには情報のキャッチボールが不可欠
になります。(重要なのは改善の成果が現れているかどうかでなく、提案の内容が妥当かどうかなのです)
- 目で見て・話してにこだわる理由はソコにあります。そこさえクリア出来ればネット上でも可能です。
今やネットでも携帯でも動画も送れるブロードバンドの時代ですから、通信の利便性を最大限活用して。
身体の重心が支持基底面(身体を支えるために床と接している部分を結んだ範囲、二足の時は両足の範囲)
の中にあるとき身体は安定すると理学療法士さんに教えてもらいました。
- その支持基底面を広く取り安定を保つ、杖や歩行器・伝い歩きに慣れると、両足の間に身体の重心を
移すには相当の時間と努力を要します。その過程では転倒というリスクも伴います。安定を得る反面負の側面もあるようです。
安全に安全にを考えて、色んな福祉具の早期利用を勧める人もおられますが、機能低下を早める事になりかねない事も心に留めてください。
自分の事であれば腹を括ってリスク覚悟で臨めるのですが、人様の事となると出来るだけリスクを排除して考えてしまいます。しかし、
今の状態を改善したい人にとってリスクは不可避という事が必要です。
(私は病名告知を受けた後13年間電車に乗って会社通勤していましたが
途中から多発根神経障害のため杖が役目を果たせないのに、周囲の人に「私は身体が不自由です」という事を
知らせるためだけに杖を持ち歩いていましたが、それでも立位の姿勢を取るとき私の重心は、両足と右足前方に
置かれた杖に位置し両足の間からズレていました。退職して在宅で療養するようになってから杖は使っていませんが、
身体に染み付いた重心の位置を変えることは、恐怖という心理的要因もあって困難を極めてというのが
実感です。)
自己防御本能との戦い
- 多くの人の場合、理屈は解りませんが「歩行が不安定になるに従って」腰を引いたベタ足・摺足になるようです。
重心の移動が足の移動より遅れるようです。しかし、正常な人の歩行は重心の移動が足の移動より先行し、片足で交互に体重を支えながら
進んでいきます。理屈は解っているのに心がそれを拒否します。ある意味歩行は自分の中の恐怖心との戦いです。アドバイスは出来ても
実践するのは自分ですからひとまかせでは改善しないと思っています。
以上のような理由で、私がやってきたリハビリは極めて私の個人的事情を加味したものですから万人に通用すると
思っていません、寧ろご本人からの情報を貰いながら、試行錯誤しながら進めることになります。
- 引力に抗う
- 足腰の弱い高齢者や車椅子で過ごす時間の
多い人には、周囲の安全を確保した場所で、「立つこと」、寝たきりの人には「座ること」を勧めます。健康な人は感じないでしょうが
、引力に抗って身体を支えるだけで、結構負荷がかかります。負荷がかかると脳はそれに耐えるだけの骨や筋力をつけようと
指令を関連する部署に出すようになっているようです。スクワットや屈伸を加え、負荷をプラスするのはもっと先の段階です。身体を支えるだけの十分な
筋力がついていないと、どんな動作も弱い筋力をカバーするために、ありえない筋肉の使い方や歪みを生じます。そんな状態で
スクワットや屈伸をしても意味がありません。要は正しく立ち・座ること、そして徐々に時間を延ばしていけばいいのです。
スクワットや屈伸までには、まだまだ積み重ねる事、やるべきことがたくさんあります。
「人の体熱の40〜80%は、筋肉を動かす事で作られ、
その筋肉の70〜80%は下半身に集中しているそうです。筋肉が収縮する時には必ず 熱を出します。
筋肉を使わない状態が慢性化している場合は、低体温になる可能性が高いことになります。
低体温になると新陳代謝が鈍くなり、内臓や神経など身体全体の機能も低下します。
例えば内臓の活動を支えている消化酵素の働きは、体温が1℃下がると50%も低下し、胃腸や肝臓、腎臓などの働きが
弱まるようです。」(http://www.shionogi.co.jp/wellness/special/special0512/)人の身体は体温が上がることよりは、
下がることへの適応力がないようです。
車椅子での生活や寝た状態が長く続く事は、それ自体では生命の危機につながる事はないでしょうが
上述したような事情から免疫機能の低下や臓器の働きの低下を招き、生命危機に直面する事も少なくないようです。
- 防御本能の働き
- PTさんが私の身体に触れて、歪みを直そうとすると「崩されまい」という無意識な作用が働いて
却って動作が不自然になってしまいます。今ではPTさんに正しい身体の動きと私の動きを真似て見せてもらうようにしています。
どうやら人の身体には「崩されまい」とする無意識の本能が働いているようです。ですからPTさんに動作してもらって、
自分の意志でそれを真似るように身体を動かすと抵抗が働きません。自分の意志で動作する事がいいようです。
しかし、理屈では解っていても身体がそうならない事が多々あります。
例えば、歩行の時に「視線を上げて胸を張る」「腰を引かない」「手を泳がせるのでなく、前後に振る」などは解っていても
身体が拒否をしてしまいます。そして転倒などで一度恐怖心を持つと足も身体も硬くなってしまいます。
歩く事は、いろんな事の上に成立しているようですから長い時間と積み重ねと繰り返しが必要です。
- 制度を使ったリハビリ
- 医療費の公費負担制度が適用される45の疾患(http://www.pref.osaka.jp/chiiki/shippei/tokutei/
nanbyo/nanbyo/tokutei%20taisyousikkanitirann.html)
について医療保険及び介護保険法の規定による訪問看護、訪問リハビリテーション
については自己負担分が公費で負担されますので、それを積極的に使ったリハビリをお勧めします。
簡単に言うと、45の病気については訪問看護・訪問リハビリテーションを医療保険を使って受けると
自己負担がナシという制度です。実はケアマネージャの方でもでこの事をご存知でない方が多いのです。
訪問看護というと医療行為を連想しがちですが、散歩もしてもらえます。転倒の不安や一人の歩行が困難な人には
、訪問看護婦さんに付き添ってもらって屋内・外の歩行を勧めます。理学療法士・作業療法士の訪問リハビリテーションを
使っても歩行できますが、私は歩行状態のチェックを理学療法士さんに、
歩行の課題を身体に覚えこませるのに、時間的に余裕のある訪問看護婦さんとの時間に使い分けています。
介護保険の身体介護を利用して、ヘルパーさんと散歩をするのも以前は可能だったのですが、今は認められていないようです。
同様にヘルパーさんとの買い物も利用者の日常生活必需品に限定されたようです。
ここに書かれた事は病気や障害の改善を保障するものではありません。
又、行為中の事故・アクシデント等について一切の責任を負うものではありませんので
自己責任に基づき注意して行ってください。