神経疾患の特徴と希望

私は二つの難病に、半ば諦めの心境もあって、病気の知識・内容に比較的無頓着のままきました。 自分の病気について正確な情報を持ち、他人任せにしないで自己管理に努める事が大切である事を 痛感し、反省しております。 そして、同病の患者さんがSCDの病型と特徴について熟知されているのを聞く度に、自分のいい加減さに呆れております。

しかし、一方で専門的知識を持たない素人が他人の症状を聞いて、安易に病名に疑問を呈したり、 病型を判断する風潮に危惧を感じております。

その判断根拠は、インターネット上に流布している専門的記述に拠るものであると思いますが、 それらの情報は一定の条件の下で(おそらく高度に専門的知識と経験を持っていないと、その条件を正しく理解できないのではないか と思われます)成立するものでしょうが、それが同病患者へのアドバイスという善意から出たものであったとしても 、条件を正しく理解できない人が安易に発言する事は、受取人の理解レベルが多様な事と相まって、不安を増幅しかねないと思うからです。

私が一方的に頼り、相談させていただいている神経内科医として第一線で患者と向き合い、今は高次脳研究センターで 脳の解明に没頭されている先生が、私の病気と治療方針についてこんな話をくださいました。

ナカムラさんの経過・検査所見はいわゆる「教科書」的な記載からはあてはめにくく、〜 病ですよ! と断定できるものではありません。どちらかといえば、現在の疾患分類にあてはめる なら、〜病、といった感じだと思います。・・・中略・・・

これは医療レベルの問題というよりは個々人の差が極めて大きい神経疾患の特性だと 思います。 神経疾患はとくに、教科書的な、〜病には〜という検査・〜という治療法、といった 型にはまった方針を決定しにくい領域です。 だからこそ、ナカムラさんにおけるストレッチ療法の効果など、教科書に記載されない治 療法がむしろ有効でありえるのだと私は思います。

勿論、これに異を唱える医師も多いと思われます。

SCDは現在のところ教科書的な云い方をすると 進行が不可避である不治の病となっております。医師の立場からすると教科書的な表現しか出来ないでしょうが、 件の医師の話を持ち出すまでもなく、同じ病型でも進行速度も症状も違うことはみなさん良くお感じの通りですし、 そのことで不安が膨らんでいるのも事実ですが、それは不思議でも何でもなく特徴のようです。

私は個人差の大きい特性と、理由も原因も特定出来ない病気ゆえに、教科書的な記述からはみ出る部分に希望と可能性を託し、 諦めない事が、同病患者へのアドバイスではないかと思います。

その医師が私に別のメールのでこんな事を書いておられます

これは医学にかぎった話ではありませんが、いわゆる「暗黙知」と呼ばれるような 知識は文章にした時点で情報量が激減し、それが誤解につながるような解釈を 生み出してしまうのでしょうね。 神経疾患の症状に関しては、とくにこの点が大きいのではないかと個人的には 感じます。

また、医学は日々進歩していく、「生きた」学問であることも大きいのではないか と考えております。5年前の「常識」が「非常識」となるような学問ですので。