事業者の介護費用の不正請求や被介護者へのイジメや虐待等が取り上げられその対策が話題に上っている。
確かにそれは由々しき問題ですが、私は話題に上らない根源的なことが気になっています。
高邁な目的と崇高な理念のもとに、事業を展開した事業者も、人を雇用したり・管理する立場に立つと 知らず知らず利益率と効率に傾注するようだ。 私はそのことを非難するつもりは毛頭ない。
それは「良質なサービスを妥当な価格で提供する企業は高い評価を受けるべきだ」 と考えるからです。しかし、自治体財政が破綻し総量の抑制が行われると、本来行うべき企業努力 (良質なサービスを届ける)を行わず、 効率だけを追求する事業者が多くなる事が問題です。
何故なら不正請求を行う事業者は、確信犯ですが、安易な利益・効率追求に走る事業者には、 自覚がないからです、寧ろ「福祉の一翼を担っている」という自負心すら持っているからです。
そのシワヨセは利用者と熱心なサービス提供者が被っているという自覚がありません。
本来そういう事業者は市場から淘汰される筈ですが、利用者が高齢者と障害者という特殊性から利用者の本当の声は
取り上げられることは極めて少なく、代わって彼ら事業主や管理者が、利用者やサービス提供者の代弁者として
発言する構図があり、それを聞いた第三者は、それが実態であるかのように錯覚していることが
多いのではないでしょうか?
サービス提供者の支援の質を、資格のハードルや研修・マニュアルを細かくすることでクリアしようとする 傾向が見受けられるが、知識やテクニックは経験を重ねるに従って、カバー出来ますが、配慮や心構えは 経験の長さとは決して比例しないこと。寧ろマニュアルや経験では身につかない部分に心を砕き、教育すべきなのに 指導者すらその点に気づいていないのではないでしょうか?
事業者の経営者や管理者は、福祉現場に係わっている人ですが、それがイコール利用者の声であり、 サービス提供者の生の声かというと、往々にして経営者の声なのです。つまり、現場では事業主と利用者の利害は 正反対なのです。例えば、利用者は依頼した時間内に出来るだけたくさんの事をしてもらいたいと思い、 事業主は効率がよくない事が多いので敬遠しがちです。
又、事業主と雇用されているサービス提供者も決して同じではありません。事業主にとっては一定時間内に 出来るだけ多くの利用者を担当し、効率よく回ることが主になりますが、サービス提供者が熱心であればあるほど 心の触れ合いを重視し、時間もかかるようになります。 経営者からは受け持ちの利用者を増やすよう業務命令が下りてきます。
そして事業主とサービス提供者は、雇用する立場とされる関係にあって、ついつい利用者よりは 雇用者の方を見るようになります。福祉だけが例外であろう筈はありません。そのことを一番良く知っているのは 雇用主であり、そこに雇用されている人達です。国及び自治体は、それを踏まえたうえで「利用者本位」を 考えないといけないと思うのですが。
サービス提供事業者の選択権が、利用者にあるといっても利用者が事業者の情報を持っていないので、
ケアマネに委ねることになります。
ケアプランの中に自社のサービス提供部門が存在すればそれを使うことになります。
それは一概に否定されることではないでしょうが、
その一歩先は、仕事を自社に抱え込むためにケアマネを置いたり、ケアプランの中に
自社の抱えるサービス項目を盛り込むことになります。
多分事業者も行政も「そんなことはあり得ない」と否定されるでしょうが、 そういう言葉が出ることが事態の深刻さを示していると思います。 ある事業主が私に次のように言いました 「利用者が事業者を選ぶと言ってますが、逆ですよ事業者が利用者を選んでいるんですよ」 数ヵ月後、私はその事業主からサービス提供の中止を宣告されました。