エスカレーターにも乗れなくなって、2〜3段の段差さえ一人で昇降できなくなった勤務時、私の悩みの種の一つは移動だった。
通勤のルートに関しては駅構内のエレベーターは勿論の事、駅の改札に到るまでのルートも どのビルのエレベーターを利用すると改札まで行けるのか、稼働時間も完璧に把握していた。 通勤以外で近場の移動に関しては殆どタクシーを利用していたが 遠方まで出かける時は電車を利用していた。しかし、市外に行けばエレベーターはおろかエスカレーターさえない所が多かった。 私の印象では私鉄よりもJRの方がバリアフリー化は遅れていた。
先日、退職以来初めて、大阪の御堂筋線の梅田からJRの大阪駅を経由しある市に赴いた。御堂筋線の梅田駅には改札階とホームを結ぶ エレベーターは当時と同じ場所にあった。JR大阪駅の改札階とホームを繋ぐのは当時、階段とエスカレーターだけだったが 今はどのホームにも改札階に通じるエレベーターがあった。駅のバリアフリーは確実に前進していた。
しかし、異なる企業体が経営する駅と駅、駅とビル、 ビルとビルを結ぶルート上にあるバリアの解消への取り組み、バリアを迂回するためのルートの表示はどこにもなく、そこだけが 取り残されている、というのが印象だった。まして、ここ数年で大阪駅前地区は再開発で変貌してしまっていた。当時の私の記憶など何の役にも立たなかった。 挙句の果ては駅職員と商業ビルの方の説明が食い違い、どちらの指示に従えばいいのか困り果てた。 元気な時であれば、ほんの5分程度のところを40分以上もかかってしまった。
しかし、そんな事は梅田や大阪駅を持ち出すまでもない、私は自分の住んでいる街だから駅と目的地を結ぶルートにある段差を クリアするのにどこのエレベーターを利用すればいいか、それはどこにあるか(大抵その種のエレベーターの場所は分かり辛い)、 仮にそれが稼動していない時にはどうすればいいかを知っている。しかし、初めての人にそれを知らせる表示はどこにもない。 多分、大阪駅や私の住んでいる街だけが例外なのでなく、ルート上の段差解消に取り組んでいる街、その表示に心配りをしている街が 稀なのだろうと思った。 06.7/12