私は一般的に言われているストレッチの効果(血流を良くする等)以上に、ストレッチは身体を 細胞レベルから活性化すると思っているのですが、私がストレッチを勧める具体的理由が二つあります。
筋肉や関節の緊張を解す必要を感じるからです。
「バランスを保とう」「転倒しないようにしよう」という意識や「恐怖感」が 常態化すると、筋肉や関節が弛緩しなければいけない時にまで収縮して動きを制限したり、 不可能にしてしまうからです。顕著な例は、下り坂や階段を下りる時です。足はしっかりと重心を受け止め支えながらも、 重心を下に運ぶ時にしっかり緩まないと、筋肉が突っ張って動きを妨げてしまいます。 その意識が更に強まると平坦な所でも、動きは難しくなります。 歩行が困難になる主因が小脳の萎縮であっても、意識が更にそれを増幅し、自分で歩行を困難にしていると 私はそう思っています。だからいつも筋肉や関節の緊張を解しケアしなければいけないと思っています。
ストレッチというと身体のケアというニュアンスが強く、ディフェンシブな印象を抱きがちですが、 ストレッチするためには、どこかをしっかりと固定しなければ、伸ばす事は出来ません。 しっかりと固定するためには、保持する筋力が不可欠です。 つまり、自分一人でするストレッチには伸ばすだけでなく、筋力をつける側面やバランス保持の要素が 含まれているからです。 寧ろ、それなくしては効果的ストレッチは行えないからです。
具体例を上げると、「ストレッチ&運動療法」の”私のストレッチ&運動療法”の1番の写真で 手首を背屈ストレッチしています。この時、手首の筋肉をストレッチするために、 ベッドに手首を押し当て固定を作りながら右手を添えています。 しかし、このストレッチをやるときに、手を胸の高さで真っ直ぐ前に突き出し、反対の手で手首を背屈させたり、 写真には載せていませんが、掌側をストレッチさせると、腕を支えるために肩及び、背筋・腹筋に筋力がなければ この体勢はとれません。 写真を撮影した時には、ベッドを使った方法しかとれませんでしたが、今では後者の方法がとれるようになりました。 保持し固定できるだけの筋力がついたからです。他のストレッチも全てソウです。自分一人でやる ストレッチには筋肉を伸ばすだけでなく、固定し保持するための筋トレの側面があります。 その意味で非常にアグレッシブでオフェンシブであるだけでなく、同じ筋肉をストレッチするにも、 それぞれの体力や筋力にあった取り組みが可能なのです。
参考例では比較的簡単なものしか紹介していませんが、高度になればなる程、しっかりと固定する筋力だけでなく バランス保持の能力も要求されます。 筋力をつけることは大変重要な事ですが、単純な筋トレの繰り返しで筋肉を固くしては逆効果になってしまいます。 ストレッチは一石二鳥が三鳥にもなります。 それぞれの体力や筋力に合わせていくらでもバリエーションが ありますし、自分の改善具合に合わせた段階的取り組みをやる事で、単に同じことの繰り返しだけでなく 長期的展望に基づいた改善に向けたリハビリを強く勧めます。